2009 油彩 F0
<この作品の解説を読む>或る魚はよいことをしたので
その天使がひとつの願をかなへさせて貰うやうに神様と約束してゐたのである。
かはいさうに!
その天使はずゐぶんのんきだった。
魚が死ぬまでそのことを忘れてゐたのである。
魚は最後の望に光を食べたいと思った。
ずっと海の底にばかり生まれてから住んでゐたし
光という言葉だけ沈んだ帆前船や錨からきいてそれをひどく欲しがってゐたから。
が、それは果たされなかつたのである。
天使は見た。魚が倒れて水の面のほうへゆるゆると、のぼりはじめるのを。
彼はあわてた。早速神様に自分の過ちをお詫びした。
すると神様はその魚を星に変へて下さつたのである。
魚は海の中に一すぢの光をひいた、
そのおかげでしなやかな海藻やいつも眠つてゐる岩が見えた。
他の大勢の魚たちはその光について後を追はうとしたのである。
やがてその魚の星は空に入り空の遥かへ沈んで行つた。
「立原道造 詩集」より
ヒアシンスハウスでの展示が決まり、
この建物を設計した、詩人であり建築家でもあった立原道造の詩集から
「魚の話」という作品を読み
その景色を思い浮かべながら制作しました。
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